ArcBlue C42は、フルサイズのカラー冷却カメラ、波動歯車式赤道儀、構図回転機構、専用タッチスクリーンを一つにまとめた天体撮影システムです。最終回の第4回では、撮影地での実際の使い方を、どの工程が簡略化され、どの工程が一つの機材に統合されたのかという視点で紹介します。

砂漠の撮影地に設置したC42
中国・哈密の砂漠に設置したC42。この撮影ではポータブル電源を接続している

ArcBlueの共同創業者Chen Songは、C42の企画にあたって、焦点距離による違いに注目しました。長い焦点距離で最高の画質を求めると、機材はどうしても大きく重くなります。一方、400 mm以下の中・短焦点であれば、画質を突き詰めながら、持ち運びやすさや撮影の快適さを両立できる余地があります。C42は、この範囲で画質と機動力を両立させること、そして写真用の豊富なレンズや機材をそのまま天体撮影に使えるようにすることを目指しています。

この記事で紹介する5つのポイント

  1. 組み立て:機器4台、ケーブル2本
  2. ピント合わせ:対応レンズのオートフォーカスと5×5の確認画面
  3. 極軸合わせ:ノブを回す方向と量を画面で指示
  4. 導入・構図・ガイド:星図から選んで自動で導入し、ガイドはスイッチ一つ
  5. 撮影の制御と確認:カメラ内で動くシーケンスと、手元のタッチスクリーン

本ブログでは、C42を4回に分けて紹介しています。第1回ではシステム全体の構成を、第2回では撮像性能とカメラ内処理を、第3回では追尾とガイドのしくみを取り上げました。第4回は、現場での撮影と運用です。


撮影の流れ

星空を撮るときの手順は、天の川を広く写す場合も、星雲や銀河を長い焦点距離で狙う場合も、基本的には同じです。機材を組み立て、ピントと極軸を合わせ、対象を導入し、必要に応じてガイドをかけながら撮影します。違いが出るのは、それぞれの手順をどの機材で、どのように行うかです。

ポータブル赤道儀とカメラで撮る星野・星景撮影、赤道儀と冷却カメラで撮る星雲・銀河の撮影、そしてC42について、一般的な方法をまとめると次のようになります。

工程星野・星景撮影(ポータブル赤道儀とカメラの例)星雲・銀河の撮影(赤道儀と冷却カメラの例)C42
組み立て三脚にポータブル赤道儀と微動雲台を載せ、カメラとレンズを取り付ける。電源は各機器の電池赤道儀に鏡筒またはレンズ、冷却カメラ、ガイド鏡とガイドカメラ(またはOAG)、電動フォーカサーを取り付け、制御用のPCと外部電源にケーブルで接続する三脚にPulsar、HALO CAA、C42カメラ、レンズまたは鏡筒、カウンターウェイト型バッテリーを取り付け、ケーブル2本で接続する
ピント合わせライブビューを拡大して手動で合わせる電動フォーカサーと制御ソフトによるオートフォーカス、またはバーティノフマスク対応レンズはカメラ内でオートフォーカス(HFDを測定)。望遠鏡は外部の電動フォーカサーを接続
極軸合わせ極軸望遠鏡極軸望遠鏡、または制御ソフトのプレートソルブタッチスクリーンが三脚の水平調整と大まかな合わせを案内し、プレートソルブで誤差を測って、ノブを回す方向と量を表示
導入星図を見ながら手で向ける制御ソフトで自動導入し、プレートソルブで中央に合わせるタッチスクリーンの星図で選び、自動導入とプレートソルブで中央に合わせる
構図の回転雲台やカメラを手で回すカメラを手で回す、または電動回転機構を使うHALO CAAでカメラとレンズを一体で回す
ガイド行わないことが多いガイド鏡またはOAGとガイドカメラ、ガイドソフト(キャリブレーションを含む)撮像センサーでガイド(GWI)。キャリブレーションは不要
撮影の制御と確認カメラ本体、またはタイマーリモコン制御用のPCC42カメラの中で実行し、タッチスクリーンで確認
撮影後の処理PCでキャリブレーションとスタックPCでキャリブレーションとスタックカメラ内でキャリブレーションとスタック(一部テスト中)。RAWをPCで処理することも可能

C42では、ピント合わせから極軸合わせ、導入、構図の回転、ガイドまでを、タッチスクリーンから順に進めます。ここからは、撮影地での実際の画面を見ながら、その流れを追っていきます。

組み立て:機器4台、ケーブル2本

C42の組み立て
組み立ての順序。左上:三脚、右上:赤道儀の台座、左下:Pulsarとカウンターウェイト型バッテリー、右下:HALO CAA、カメラ、レンズを取り付け、ケーブルを接続した状態

組み立ては、三脚、赤道儀、カメラを順に手で組み合わせていく方式で、約3分で終わります。使う機器は4台、ケーブルは2本です。カウンターウェイト型のバッテリーが電源とバランスウェイトを兼ねるため、ウェイトと電源を別に用意する必要はありません。

システム一式(カメラ、HALO CAA、Pulsar、バッテリー、カーボン三脚)の重量は約5.1 kgで、Pulsar Heavyの構成では約6.9 kgです。カメラと赤道儀は合わせて約3.5 kg、バッテリーは99 Whで、多くの航空会社の機内持ち込みの範囲に収まります(事前に各航空会社の規定を確認してください)。

夜間の撮影地での組み立て
夜の砂漠での組み立て。赤道儀の向きを北に合わせて設置する

撮影の制御、星図、天体のデータベース、画像処理は本体の中で動くため、ネットワークのない撮影地でも撮影の流れは変わりません。

ピント合わせ:オートフォーカスと5×5の確認画面

C42は、Sony E、Nikon Z、Canon EFの各マウントのレンズと電子的に通信し、対応するレンズではオートフォーカスと絞りの制御が使えます。オートフォーカスは、星像のHFD(Half Flux Diameter:星の光量の半分が収まる円の直径)を測りながら、ピントの全範囲を対象に行います。ピント位置を少しずつ動かして各位置のHFDを測り、その変化に曲線を当てはめて、HFDが最小になる位置を求めます。

オートフォーカスの結果画面
オートフォーカスの結果画面。横軸がレンズのピント位置、縦軸が星像の大きさ(HFD)で、点が実測値、破線が近似曲線。この例では、最良位置4102.6、最小HFD 9.98と表示されている。出典:Naztronomy「ArcBlue C42: Testing Kickstarter’s Most Hyped Smart Astro System」(YouTube、10:04付近)
ピント合わせの操作画面
ピント合わせの操作画面。円で囲んだ星を見ながら、画面下のバーでピント位置を動かす

手動で合わせる場合は、画面で星の像を確かめながら、画面下のバーでピント位置を動かして合わせます。

5×5の確認画面
5×5の確認画面。中央から周辺までの星像を並べて表示し、左のボタンで手動フォーカスとオートフォーカスを切り替える。出典:AstroCreation「ArcBlue C42: A Smart Telescope with A Full Frame?」(YouTube、19:20付近)

オートフォーカスの後は、画面を5×5に分けた確認画面で、中央と四隅の星の形を見比べられます。周辺の星像の崩れや、左右・上下で差がないかもこの画面で分かるため、ピントの位置を中央と周辺のどちらに寄せるかを、撮影者がその場で判断できます。望遠鏡を使う場合は、外部の電動フォーカサーを接続します。

極軸合わせ:三脚の水平から精密な調整まで

C42は、天頂付近でも安定して追尾できるように赤道儀を採用しています。そのため、撮影の前に極軸を合わせる必要があります。この工程は、現在のバージョンでも撮影者が手でノブを回して行います。C42が受け持つのは、手順の案内と誤差の測定、そしてどのノブをどれだけ回すかの指示です。極軸合わせは、三脚の水平調整、大まかな極軸合わせ、精密な極軸合わせの順に進めます。

三脚の水平調整

三脚の水平調整
左:極軸合わせの前に、三脚の水平を合わせるよう促す表示。右:水平調整の画面。方位の原点(Heading zero)、傾き(Pitch angle)、コンパスの校正(Compass cal)の3段階で進める。出典:AbdurAstro「ArcBlue C42 Astrophotography System: Hands on Review」(YouTube、4:26付近)

極軸合わせを始める前に、三脚の水平を合わせるよう画面に表示されます。水平調整の画面では、方位の原点、傾き、コンパスの校正の3段階を、赤道儀の図に示された箇所に従って進めます。

大まかな極軸合わせ

大まかな極軸合わせ
大まかな極軸合わせ。左:赤道儀の台座を北へ向ける(Rough north)、右:台座の目盛りを撮影地の緯度に合わせる(Pitch angle、この例では38°)

極軸合わせの画面は、方位の原点(Heading zero)、北への向き合わせ(Rough north)、緯度の設定(Pitch angle)、開けた方向の選択(Clear left/right)、誤差の測定(Calibration)の順に進みます。最初の3段階では、赤道儀の台座の図の上に、どこを北へ向け、どの目盛りを何度に合わせるかが表示されます。

ベータ版のV0.4では、大まかに合わせる方法として、タッチスクリーンのセンサーを使う方法と、明るい星1つを使う方法も加わりました。

AR極軸合わせの画面
AR極軸合わせ。左:星図上で天の北極の方向に枠を重ねる、右:ライブビューに写った北極星とこぐま座λ星を目標の印に重ねる

AR表示を使う方法もあります。星図上の枠を重ね、続いてライブビューに写った北極星とこぐま座λ星を目標の印に重ねます。短い焦点距離の星景撮影であれば、ここまでで撮影に入れます。

精密な極軸合わせ

プレートソルブによる極軸合わせ
プレートソルブによる極軸合わせ。左:1回目の測定で総誤差10′38″、右:調整後の総誤差1′01″(デモンストレーションでの値)

より高い精度が必要な場合は、プレートソルブによる極軸合わせに進みます。西か東の開けた方向を選ぶと、赤道儀が向きを変えながら3枚の星野を撮影し、極軸の誤差を計算します。画面には、方位と高度のどちらのノブを、どちらへ、何回転回せばよいかが表示されます。ノブを回して結果を更新し、残りの誤差を確かめながら追い込みます。デモンストレーションでは、総誤差が10′38″から1′01″まで下がり、星雲・銀河の撮影向けの表示(Deep Sky)にもチェックが付いています。必要な精度は、焦点距離と1枚の露光時間によって変わります。

今後は、プレートソルブで誤差を測った後、赤経・赤緯軸とHALO CAAの3軸で補正し、手でノブを回す微調整を不要にする機能を、OTAアップデートで提供する予定です。

導入・構図・ガイド

撮りたい対象は、タッチスクリーンの星図から選びます。Pulsarが自動でその方向へ向き、プレートソルブで写った星の位置から対象を画面の中央に合わせ、HALO CAAがカメラとレンズを指定の角度まで回します。前景を入れた星景では、ライブビューを拡大して、地上の景色と星空の両方を見ながら構図を決められます。

ガイドはGWIで行います。GWIは撮像センサーそのものでガイドするため、ガイド鏡とガイドカメラは使わず、ガイドの前のキャリブレーションもありません。しくみは第3回で紹介しています。撮影の操作は、組み合わせる機材によって2通りの方法があります。

Pulsarとカメラレンズの場合:カメラ内蔵のアプリで操作

PulsarとHALO CAA、カメラレンズを組み合わせた構成では、タッチスクリーンのカメラ内蔵のアプリですべての操作を行います。ガイドは、アプリのGWIのスイッチで切り替えます。

タッチスクリーンのガイド表示
ベータ版のタッチスクリーンでのガイド表示。撮影画面の上部でガイド星を追い、下部に赤経・赤緯の誤差と補正量のグラフを表示する。この場面では、RMSは赤経・赤緯とも0.3 pixel。出典:AstroCreation「ArcBlue C42: A Smart Telescope with A Full Frame?」(YouTube、16:55付近)

撮影画面の下部にはガイドグラフが表示され、撮影を続けながらガイドの状態を確認できます。AstroCreationのレビューでは、北アメリカ星雲の撮影中に、RMSが赤経・赤緯とも0.3 pixelと表示されていました。タッチスクリーンの撮影フローに統合したGWIは、現在ベータ版でテストしています。

他社の赤道儀や電動フォーカサーの場合:カメラ内蔵のINDIGOで撮影

C42カメラは、天文機器の制御フレームワークINDIGOをカメラの中で動かしています。他社の赤道儀や電動フォーカサーと組み合わせる場合は、これらの機器をC42カメラに接続し、カメラ内蔵のINDIGOを通して制御します。INDIGOのクライアントソフトから接続すれば、GWIのガイドの状態も、通常のガイドソフトと同じように確認できます。

GWIのテストに使われた機材
GWIのテストに使われた機材。Pulsarの片側にSkyRover 70SA(350 mm f/5)とC42、反対側にSony 14mm GMともう1台のC42を載せている
INDIGOでのGWIのガイド画面
INDIGOのクライアントから見たGWIのガイド画面。上の機材で、200フレームでのガイド誤差は合計0.42 pixel RMS(赤経0.33、赤緯0.26)

ArcBlueの共同創業者Shen Feichen氏が自宅で行ったテストでは、焦点距離350 mmの鏡筒とC42でGWIを使い、INDIGOのクライアントでガイドの状態を記録しました。ガイド誤差は合計で約0.42 pixel RMSで、グラフの青が赤経、橙が赤緯の誤差です。どちらもゼロの線の周りに収まっています。

撮影の制御と確認

一晩で複数の対象を撮る場合は、撮影シーケンスを組みます。対象ごとにISO感度、露光時間、枚数、撮影する時間帯を設定でき、決めた時刻や対象の高度に応じて次の対象へ切り替えられます。

撮影シーケンスの設定画面
撮影シーケンスの設定画面。対象(デネブ)の高度の変化を見ながら、撮影する時間帯、枚数、露光時間を決める

シーケンスはC42カメラの中で動いているため、マグネット式のタッチスクリーンを外して車やテントに持ち込み、離れた場所から進み具合を確認できます。接続が一時的に切れても撮影は続きます。

一晩撮影を続けると、対象が子午線を越えるときに赤道儀の反転が必要になります。現在のベータ版では、赤道儀側の子午線反転が動作しています。撮影を一時停止して反転し、再開後にHALO CAAで構図を合わせ直すまでの一連の動作は、開発中です。

撮影中のタッチスクリーン
撮影中のタッチスクリーン。アンドロメダ銀河を追尾しながら撮影し、スタックの進み具合(60枚中3枚)と温度表示(−19°C)が出ている

撮影したデータは、カメラ内のアルバムで画素単位まで拡大して確認できます。ダーク・フラット・バイアスによるキャリブレーションと撮影後のスタックもカメラの中で行えます(スタックとフラット・バイアスは現在ベータ版でテスト中)。処理した結果は元のRAWとは別に保存され、14-bitのFITSなどの元データは、後からPCで処理するためにそのまま残ります。詳しくは第2回で紹介しています。

星景と星雲・銀河で異なる点

同じ流れの中でも、焦点距離と対象によって使う工程が変わります。

短い焦点距離の星景撮影では、AR極軸合わせだけで撮影に入れます。前景を入れた構図はライブビューで決め、冷却したフルサイズセンサーで長めの露光を重ねられます。星景写真家のAde Wang氏は、2026年8月に中国・哈密の砂漠で、C42とSIGMA 85mm F1.4 DG DN Artを使い、へびつかい座ρ星周辺を120秒×26枚撮影しました。前景は別のカメラで4秒の1枚を撮って合成しています。同氏は、冷却のないカメラと比べて熱ノイズがよく抑えられていると話しています(撮影の様子)。

天の川と湖面
天の川と湖面。C42試作機、Sony 24mm f/1.4 GM、星空:180秒×21枚、前景:30秒×3枚。撮影:AdeWang Wang Yifu

星雲や銀河を長い焦点距離で撮る場合は、プレートソルブによる極軸合わせまで行い、GWIでガイドをかけます。1枚の露光が長くなるほど、極軸の誤差とガイドの効果が結果に表れます。

今後は、星空と前景の合成や、天の川全体を写すモザイク撮影も、撮影の流れの中に組み込んでいく予定です。モザイク撮影は、構図のガイド、撮影する順路の計画、回転の補正、つなぎ合わせた画像のプレビュー、選んだコマの撮り直しを含む機能として開発されています。

手持ちの赤道儀とレンズで使う

C42カメラは、Pulsarと組み合わせるだけでなく、すでに使っている赤道儀や光学系に取り付けて使うこともできます。

リモート天文台での換装
天体写真家Alpha Zhang氏のリモート天文台での換装。左:換装前。Canon 400mm f/2.8に冷却APS-Cカメラ、ガイド鏡とガイドカメラを組み合わせている。右:換装後。マウントアダプターを介してC42カメラを取り付けた状態

ArcBlueは、天体写真家Alpha Zhang氏のリモート天文台で、撮影機材をC42カメラに換装しました。換装前の構成は、Canon 400mm f/2.8、冷却APS-Cカメラ、ガイド鏡とガイドカメラ、フォーカスの制御、電動回転機構の制御、そしてそれらをまとめて管理するPCでした。カメラ、フォーカサー、電動回転機構、ガイドカメラのケーブルは、すべてPCにつながっていました。

換装後は、C42カメラをマウントアダプターでCanon 400mm f/2.8に取り付けています。アダプターを介して、レンズの絞りとピントをC42から直接制御できます。電源と赤道儀の接続は、カメラのUSB Type-C端子に標準的なUSBハブをつないでいます。ハブの一方で電源を受け、もう一方のUSB端子を赤道儀に直接接続して、カメラへの給電と赤道儀の制御をまとめています。ガイドはGWIで行うため、ガイド鏡とガイドカメラは使いません。換装にかかった時間は約2分でした。ArcBlueは現在、世界各地のリモート天文台へのC42の設置を進めています。

これまでの撮影で使われた光学系

作例や公式の動画、レビューで、C42と組み合わせて使われた光学系は次のとおりです。手持ちのレンズや鏡筒を選ぶときの参考になります。

光学系焦点距離・F値撮影の例
Sony FE 14mm F1.8 GM14 mm、f/1.8ヨセミテでの天の川のタイムラプス
Sony FE 24mm F1.4 GM24 mm、f/1.4天の川と湖面(星景)
Sigma 40mm40 mm、f/1.4〜1.6南十字星周辺、天の川とへびつかい座ρ星周辺
SIGMA 85mm F1.4 DG DN Art85 mm、f/1.4へびつかい座ρ星周辺と前景(哈密)
Svbony 105mm f/2.8105 mm、f/2.8北アメリカ星雲、ソウル星雲
Sony 135mm GM135 mm、f/1.8へびつかい座ρ星の分子雲
SkyRover 70SA350 mm、f/5わし星雲とオメガ星雲、GWIのテスト
Canon 400mm f/2.8400 mm、f/2.8リモート天文台(マウントアダプター経由)

このほか、海外のレビューでは、Sigma Art 135mm、SVBONY SV535、Sky-Watcher Evostar 80ED、Celestron 8" EdgeHDとの組み合わせも試されています。焦点距離400 mm以下のカメラレンズや小型の屈折鏡筒が中心ですが、焦点距離2,000 mmを超える鏡筒にも接続できます。重い光学系を使う場合は、Pulsar Heavyや他社の赤道儀と組み合わせます。

作例

ソウル星雲周辺
ソウル星雲周辺。C42、Pulsar、Svbony 105mm f/2.8、120秒×60枚(総露光120分)、中国・寧夏、Bortle 4。撮影:Chen Song、画像処理:Alpha Zhang Shaoyu、Peter Sheng
わし星雲(創造の柱)とオメガ星雲
わし星雲(創造の柱)とオメガ星雲。C42試作機、70SA(350 mm f/5)、総露光5時間。撮影:Shen Feichen

ほかの作例と撮影データは、ArcBlueの作例ページで公開しています。

開発状況

2026年10月時点の、現場での撮影に関わる機能の状況は次のとおりです。

状況機能
ベータ版で動作(V0.1〜V0.3)接続と位置・時刻の同期、星図からの導入、プレートソルブ、極軸合わせ、オートフォーカス、ライブビュー、HALO CAAの閉ループ回転、アルバム、ダークによるキャリブレーション、Wi-Fi・有線LAN・USBでの書き出し、OTAアップデート
ベータ版でテスト中(V0.4)撮影フローに統合したGWIガイド、撮影シーケンス、撮影後のスタック、フラット・バイアスを含むキャリブレーション、大まかな極軸合わせの2つの方法、QRコード・NFCでの画像共有
開発中・予定ワンタップのモザイク撮影、撮影の一時停止・再開を含む子午線反転、撮影後のキャリブレーション、撮影手順の書き出しと読み込み、赤道儀へのIMU・コンパスの搭載、3軸制御による極軸補正、結露防止の状態表示

開発中・予定の項目は開発の方向性を示すもので、各機能の提供日を確定するものではありません。仕様や機能は、今後の開発で変更される場合があります。

実機レビュー

C42の試作機を実際に使ったレビューが、海外の天体写真家から公開されています。

  • AbdurAstro:Sony 135mm GM、Sigma Art 135mm、SVBONY SV535、Celestron 8" EdgeHDで試し、ピント合わせ、極軸合わせ、導入から撮影設定、ガイドまでの流れを紹介しています。(YouTube・英語)
  • Naztronomy:米国デスバレーで、持ち運びやすさ、モジュール構成、撮影の流れ、GWIによるガイドを確かめています。(YouTube・英語)
  • AstroCreation:SVBONY SV535で北アメリカ星雲を、Sky-Watcher Evostar 80EDでアンドロメダ銀河を撮影し、ガイドあり・なしの画像を比べています。望遠鏡はINDIGO経由で接続しています。(YouTube・英語)
  • Chasing Luminance:タッチスクリーン上のライブスタックなど、開発中の機能を含めて撮影の様子を紹介しています。(YouTube・英語)

天文ショップグラビティでも、実機が届きしだい実際に使って評価し、その結果を本ブログで紹介します。

よくある質問

PCは必要ですか。

撮影には必要ありません。撮影の制御、星図、天体のデータベース、画像処理はC42の本体で動くため、ネットワークのない撮影地でも撮影を完結できます。PCから操作したい場合は、INDIGOのクライアントソフトや、Alpaca Bridgeを経由したASCOM/Alpacaのソフトウェアから接続できます。

手持ちのレンズや望遠鏡は使えますか。

Sony E、Nikon Z、Canon EFのレンズは、対応するマウントのC42カメラにそのまま取り付けられます。その他のマウントのレンズは、アダプターを使って使える場合があります。望遠鏡は、M68ネジで直接、または市販のTリングで接続します。レンズの重量や構造、電子プロトコル、アダプターによって対応状況が変わるため、本番の撮影の前に組み合わせを確認してください。

手持ちの赤道儀は使えますか。

C42カメラは、他社の赤道儀と組み合わせて使えます。赤道儀や電動フォーカサーはC42カメラに接続し、カメラ内蔵のINDIGOを通して制御します。

システムのほかに何が必要ですか。

レンズまたは望遠鏡と、記録用のNVMe SSDです。どちらもシステムには含まれません。ガイド鏡やガイドカメラは不要です。必要に応じて、フィルターや、光学系に合わせたアダプターを用意します。

バッテリーはどのくらい持ちますか。

付属の99 Whのバッテリーで、常温での目安は、追尾のみで5時間以上、追尾と撮影で約4〜5時間、TEC冷却を使う場合で約2時間です。バッテリーは2個まで使え、撮影を止めずに交換できます。一晩冷却を続ける場合は、65 WのUSB-C出力を持つポータブル電源などから給電します。

飛行機で持ち運べますか。

カメラと赤道儀は合わせて約3.5 kg、バッテリーは99 Whで、多くの航空会社の機内持ち込みの範囲に収まります。事前に利用する航空会社の規定を確認してください。

保証とサポートはどうなりますか。

保証期間は、C42カメラとPulsarが2年、カウンターウェイト型バッテリーが1年です。Kickstarterで支援された方を含め、日本国内でのサポートと修理は天文ショップグラビティが担当します。

Kickstarterでの支援状況

C42はKickstarterで支援を受け付けています。開始から1時間で30万米ドルを超え、2026年10月23日時点で、234人から88万米ドル以上の支援が集まっています。支援の受け付けは、日本時間の2026年12月13日午前1時45分までです。

希望小売価格は4,999米ドル、KickstarterではSuper Early Bird価格の3,799米ドルです。Pulsar Heavyへの変更は200米ドルの追加、追加のカウンターウェイト型バッテリーは139米ドル、専用ハードケースは159米ドルで選べます。支援の価格、リターンの内容、配送については、Kickstarter上の記載が優先します。初回出荷は2027年2月の見込みです。

天文ショップグラビティは、ArcBlue製品の日本国内での取り扱いを予定しています。Kickstarterで支援された方を含め、日本国内でのサポートと修理は天文ショップグラビティが担当します。セット内容と技適の状況は、第1回の記事にまとめています。

Kickstarterでプロジェクトを見る

連載のおわりに

4回にわたって、ArcBlue C42を紹介してきました。

C42は、撮影の工程そのものを減らすのではなく、ピント、極軸、導入、構図、ガイドの各工程を一つのシステムの中で連携させ、撮影者が判断する部分と機材に任せる部分を整理した製品です。

機能は、出荷後もOTAアップデートで追加されていきます。ArcBlueは、3年間の主要な機能アップデートと5年間のソフトウェアメンテナンスを予定しており、モザイク撮影や星空と前景の合成など、50以上の撮影ワークフローを順に提供する計画です。ベータ版のV0.1からV0.4までの開発の記録も、公式サイトで公開されています。

今後も、開発の進み具合や実機での評価を、本ブログでお知らせします。

参考:ArcBlue C42 公式サイト/Kickstarter/開発状況/極軸合わせの解説(英語)/GWIのテスト動画(英語)

主な仕様(運用)

項目内容
システム重量約5.1 kg(Pulsar Heavy構成:約6.9 kg)。C42カメラ、HALO CAA、バッテリー、カーボン三脚、赤道儀を含む。レンズ・鏡筒・SSDを除く
カメラ+HALO CAA+タッチスクリーン約1.47 kg
カーボン三脚約0.79 kg、収納時 約330 × 80 × 80 mm
マウントSony E/Nikon Z/Canon EF(電子接点付き)、またはM68ネジ
バッテリー99 Wh カウンターウェイト型。最大2個、交換時も撮影継続
外部電源USB-C(65 W)
動作温度−20〜40°C
結露対策光学窓にTEC冷却と連動したヒーター(レンズや鏡筒の前玉は別途対策が必要)
記録NVMe SSD(最大2 TB、別売)
通信・書き出しWi-Fi 5、USB 2.0、ギガビット有線LAN
外部機器との連携INDIGO、Alpaca Bridge経由でASCOM/Alpaca
保証カメラとPulsar:2年、カウンターウェイト型バッテリー:1年

仕様は2026年10月時点のものです。製品版で変更される場合があります。